予防と健康管理ブロックレポート
1.【はじめに】
授業で見たうつ病とアスベストのビデオから私はうつ病を選びレポートします。
まずはじめにうつ病の概要について
うつ病とは、気分障害の一種であり、抑うつ気分や不安・焦燥、精神活動の低下、食欲低下、不眠などを特徴とする精神疾患である。
うつ状態の性質には一過性の心理的なストレスに起因するもの、統合失調症・パニック障害など、他の疾患の症状としてのもの、季節や生体リズムなど、身体の内部の変調によって生じるもの(内因性うつ病) などがある。
うつ病の症状としては「抑うつ気分」と「興味・喜びの喪失」がある。
「抑うつ気分」とは、気分の落ち込みや、何をしても晴れない嫌な気分や、空虚感・悲しさなどである。
「興味・喜びの喪失」とは、以前まで楽しめていたことにも楽しみを見いだせず、感情が麻痺した状態である。
これら主要症状に加えて、「抑うつ気分」と類似した症状として、「自分には何の価値もないと感じる無価値感」、「自殺念慮・希死念慮」などがある。これらのグループの症状をまとめると「気分が落ち込んで嫌な毎日であり、自分には存在している価値などなく、死にたいと思う」という訴えとなる。
「興味・喜びの喪失」と類似した症状としては、「気力の低下と易疲労性」、「集中力・思考力・決断力の低下」がある。このグループの症状をまとめると「何をしても面白くなく、物事にとりかかる気力がなくなり、何もしていないのに疲れてしまい、考えがまとまらず小さな物事さえも決断できない」という訴えとなる。
さらにこれらの精神症状に加えて「身体的症状」として、食欲、体重、睡眠、身体的活動性の4つの領域で、顕著な減少または増加が生じる。訴えとしては「食欲がなく体重も減り、眠れなくて、いらいらしてじっとしていられない」もしくは「変に食欲が出て食べ過ぎになり、いつも眠たく寝てばかりいて、体を動かせない」というものである。
2.【選んだキーワード】
うつ病・職場
このキーワードを選んだ理由はうつ病は現代社会においてすごくありふれていることや自分もよく落ち込むことがあるのでうつ病について理解を深めたい、また日本では年間の自殺者が三万人を超え、その中でも労働者の自殺者がとても多いということがこのキーワードを選んだ理由である。
3.【選んだ論文の内容の概略】
題名:企業におけるうつ病 〜産業精神医学の立場から〜
著者:田中克俊
企業におけるうつ病対策の新しい意義
1998年以降年間の自殺者が3万人を超える状況が続いている。企業においても中高年労働者の自殺の増加が大きな問題となっている。企業は業務に伴う披露や心理的負荷によって労働者の健康が損なわれないよう注意する義務があるが、業務による披露が誘引となってうつ病に罹患し自殺するにいたった場合、企業がその責任を負わなければならない。
職業性ストレスとうつ病との関連
うつ病と仕事のストレスとの関連を明確にすることはそれほど簡単なことではない。しかし、仕事の要求度については抑うつ状態との間に有意な関連があるとする報告が数多くあり、大うつ病についてもいくつかの研究で仕事負担との有意な関連性が示されている。しかしながら、別の研究では、労働付加と新たな大うつ病の発症との因果関係について否定的な結果が見出されているものもある。
また、仕事のコントロールの低さが抑うつ症状と関連することは数多くあるが、大うつ病発症との関連に限った場合には否定的な結果のみ報告されている。一般的に、仕事の要求度が高くコントロールが低いことと抑うつ状態とは有意に関連するといわれているが、これらの要因と大うつ病との関係性についてはっきりとした結論はだされていない。
うつ病と職業性ストレスとの因果関係については、今後より詳細な研究や解析が求められるが少なくとも現時点では仕事のストレスでうつ病になった、ということにあまり多くの科学的根拠を持たせることはできない。
企業におけるうつ病対策
おそらく職場において最も注意すべき誤解は、うつ病の発症には必ず何らかの原因があるはずでありそれを解決しない限りうつ病は治らないということである。そもそもうつ病の原因がいまだ完全に解明されているわけではなく、まして職場ストレスに安易に原因を求めることは慎まなければいけない。したがって、企業におけるうつ病対策の中心は、現時点ではその原因を制御しようとする一次予防よりも、より早期に介入をはかる二次予防活動を優先すべきだと思われる。
最近企業におけるうつ病対策として注目を集めているのがEAP(Employee
Assistance
Program:従業員支援プログラム)である。
EAPには、社内に相談窓口がある内部EAPと、社外のEAP専門機関に委託して行われる外部EAPの2つがあり、それぞれ精神疾患等についてのアセスメントの訓練を受けたEAPカウンセラーが相談対応を行っている。わが国の企業においては、これまで産業医や保健師がうつ病に関する相談対応を行ってきたが、非専門家には対応するのが困難なことが多く、専門家の存在が必須となる。特に相談のしやすさというメリットをもつ外部EAPを導入してうつ病の早期発見早期介入しようとする企業が増えてきている。今後既存の健康管理システムを補完する形で日本型EAPが広がっていくことが期待されている。
おわりに
うつ病は有病率が高く治療効果が十分期待できるにも関わらず実際の受療率は低いことから、二次予防効果が十分期待される疾患である。また、うつ病予防は企業のリスクマネージメントや従業員のQOLのためだけでなく労働損失の低減、ミスや自己の防止といった視点においても重要な活動である。うつ病および自殺予防においてもまずは企業などにおけるきちんとした二次予防活動が求められていると思われる。
題名:職場結合性うつ病の病態と治療
著者:加藤 敏
職場結合性うつ病の病態
発病状況
仕事におわれゆとりのない毎日を過ごし、少なからず睡眠時間の短縮を余儀なくされて、心身疲労が積み重なることが続くのに加え、仕事を消化・達成できず、また、会社で当人の仕事が評価されず、不信感、挫折感を体験することが発病状況となることが多い。
病像
重要な初期症状として、不眠と心身疲労、頭痛、肩こりなどの身体の不調、気分のイライラ、不安・焦燥などがある。これらについて少し述べる。なお、病歴をよく聞いてみると、抑うつに先行して、仕事を遂行しようとする前向きの態勢の中で軽躁状態、ひいては躁状態になっている時期が明らかになる症例がある。
睡眠障害
許される睡眠時間が短い中、中途覚醒や入眠困難が出現してくる。欠勤することなく仕事をこなすため、周囲が異常に気づかれず、突然の自殺企図で初めて問題が表面化することが少なくなく、不幸なことに既遂に終わることさえある。労災申請され、認定されている事例の中にこの種の事例が一部確実にあるように思われる。
不安関連症状
うつ病というと、まず、何もする気が起きない、気持ちが沈むなどの制止症状が特徴的とされる。しかし、これと並ぶもうひとつの症状系列は不安・焦燥である。これら2つの症状系列が同時に認められることが多いと思われる。職場結合性うつ病では、とりわけ会社に休まず行っているような事例では、制止に比べ不安・焦燥が前景に出る。
このように不安症状が際立つため、医師は、うつ病とは考えず、単にパニック障害あるいは不安性障害と診断する事例が多い。
内因性病態
概して不安・焦燥優位のうつ病では、家族を含め周囲の人が異常に気づきにくいだけでなく、本人自身病気であるとの自覚を持ちにくい。これは、いわゆる内因性うつ病の発症に伴い心身の包括的な変化が生じたことによるうつ病性病識欠如とみるべきである。
ついでに、内因性うつ病とは言うものの、わが国においてはここ40年あまりの間で病態に変化が生じていることを指摘しておきたい。
裂開相と内閉相
制止に比べて不安・焦燥が優位になる事情は、患者が自分の直面する状況に対し、いかなる態勢をとるのかに注目すると次のように理解できる。この点は治療、ひいては予防を考える上で参考になる。
家から外に出て職場へ赴くと、人は他者のまなざしへと開かれる態勢をとる一方、職場から帰宅し仕事から解放され家でくつろぐとき、社会から自己を閉ざす態勢をとる。それぞれの相は、裂開相、内閉相と呼ぶことができ、人間の毎日の生活は、裂開相と内閉相が円環状に継起している。
うつ病の症状の中の制止症状は、人が仕事から撤退して言えで休む態勢をとる内閉相において形成される症状とみなせる。心身困憊の状態にあって本能的な自己防衛性の制御機構が働き、エネルギーの放出を抑えるよう活動水準が下げられるのである。
不安・焦燥は、心身困憊状態にある人が、何が何でもやり遂げなければと仕事に前向きの態勢をとる裂開相において出現する。職場に向かう途中で動悸、冷や汗を伴うパニック発作や社会不安性障害は裂開相で出現するといえる。
この視点から職場結合性うつ病の病態は次のようにまとめられる。まず発病状況について言うと、睡眠時間を短縮してまで仕事を課されることによく見られるように、一日の生活は、内閉相に比し裂開相が異常に長くなっている。また発病後の病態も、中途覚醒して職場におもむこうとし、裂開相が支配的となり、内閉相が少なくなる。
それゆえ、現代日本の勤労者のうつ病で、制止に対し不安・焦燥の症状系列が前景に出る一つの理由は、内閉相に身を置くとゆとりがないためと理解される。
治療
休息、内閉相の保障
職場結合性うつ病の患者には、身体的休養と精神的休養を十分とらせる必要がある。そのため、入院治療が適応となることが多く、また入院治療はレクリエーション活動の導入は控えたほうがよい。
同様に職場の人の接触は当初避けるよう取り計らう必要がある。ある程度心身疲労がとれてきたら、少しずつレクリエーション活動を始めていくべきである。
患者への病気の説明、語りと傾聴
うつ病は軽症例では、外来で治療加納で患者に診断、病態、治療的対応の概要を説明してあげるだけで、不安がかなり軽減する症例がある。中等度の症例では入院しないまでもすこし仕事を休む必要がある。しかしながら仕事があるから休めないという患者もいる。その場合、本人の意見を尊重する必要がある。このように医師の意見を一方的に押し付けるのはよい方法ではない場合もある。
職場との連携
職場復帰の段階になったら職場の上司などに病状説明し、理解を求めることが望ましい。
薬物療法
職場結合性うつ病の内因性病態が際立つ急性期は薬物療法がまず適応となる。
また職場結合性うつ病の患者には元々生命力動水準が高い活動的な人が多いため、微細に見ると双極性病体が潜在的に認められる例がかなりある。
4、選んだ論文の内容とビデオの内容から、自分自身で考えたことを将来医師になる目で捉えた考察
まだ現時点では仕事とうつ病との細かな関連でわかっていない部分もあることからまずは仕事とうつ病との関連についてより詳細な解析が必要だと思われる。
そして仕事によるストレスなどからうつ病を発症する人を減らし、ひいては自殺者を減らすために二次予防だけでなく一次予防の観点から解決策を見出す必要がある。たとえば日本の企業ではこれからはもっと産業医などの専門家と綿密に連携をとって労働者のストレスを軽減する方法を考える、また相談しやすい環境を作るなど労働者にとって仕事のしやすい環境を構築していくことが不可欠だと思われる。
また、医師は患者に対してはうつ病について患者に知識をしっかりと与え、また会社に対してもうつ病について理解を深めてもらえるようにしなければならない。そのように知識を与えた上で患者、会社が今後どのようにしていけばよいのか的確な指導をしなければならない。
5、まとめ
今回のうつ病・職場というキーワードでレポートを書いたことにより、よりうつ病について理解を深めることができたと思われる。今後もこのようなレポートや授業、学外活動、メディアなどを通じてえた様々なことがらを、自分で調べるなどしてより広く深く、また正確な知識を得て、その知識を様々な人に提供していけるようになりたい。